GNと続々ヘルメット
時事的な話。GNは関係ないです。
先日からライダー界隈で話題になってますね。そう、ヘルメットのお話です。ヘルメットの話は長くなります。悪しからず。
OGKのヘルメットが【JIS規格】を外されました。
まぁ、以前からOGKの企業体質の噂は聞いておりましたが、実際に目にしたわけでも体験したわけでも無いのでこの話は避けたいと思いますが、今回の騒動はこの辺りが原因のようです。
問題のこの【JIS規格】ですが、簡単に言うと【任意の試験】をクリアした【丈夫なヘルメットでヤンス】とお墨付きを貰ったヘルメットに与えられる称号です。そして今書いたように【任意】の規格です。
で、一旦、日本における他のヘルメットの規格の話をさせて頂きます。以前にも記事にしましたので重複しますが、簡単にご説明。
https://y134045.muragon.com/entry/97.html
↑以前のヘルメットの記事。
まずは【SG規格】。製品安全協会という所の安全基準をクリアしていると貰える規格。ヘルメットの目立つところにシールがペタリと貼ってあるのでよく目にすると思います。【任意】の規格ですが、日本のヘルメットにはほぼ漏れなく付いてきます。製品に【欠陥】が有って何かが起きてしまった場合、上限1億円の保証が出るという保険的意味合いを持つ規格です。
で、日本国内で重要なのが【PSC規格】。これは日本製のヘルメットに対してはほぼ【強制】ですね。何故ならこの規格に通っていないと国内では【販売】が出来ません。
ここからが今日のお話のメイン。この【PSC規格】ですが、数年前に試験のクリア条件が【JIS規格】同等レベルに引き上げられてます。つまり、今となっては【JIS規格】ってあまり意味ないじゃんって事です。
というわけで安心して【OGK KABUTO】のヘルメットを買っても良いんじゃないかしら?というお話でした。もちろん店頭に並んでいるOGKの全てのヘルメットにはPSCとSGのシールが目立つ場所にペタリと貼ってありますので、実質【JIS規格】が貼ってあるのと一緒ですね。
以上、OGKの回し者からの提案でした。・・・OGK製のヘルメットは買った事ないけどね。
・・・ここから蛇足。そしてこの蛇足が長いです。
さて、【PSC規格】の話を掘り下げていきたいと思いますが、このシールが貼ってないと日本国内では【販売】が出来ません。そう【販売】が出来ないだけなのです。
海外から個人(?)輸入したヘルメットには当然、【PSC規格】を通っていないものも多数あります。なのでこれらは日本のお店やネット通販では販売が出来ません。・・・出来ないはずなのですが、Amazon等では普通に売っています。この辺りはどうなっているのでしょうか?
では販売が出来ないだけで【PSC規格】を通っていないヘルメットを被って公道を走っても【違反】にはならないのでしょうか?明言は控えたいところですが、それを言わないと話になりませんので、結論から言ってしまうと【違反ではない(はず)!!!!!!!!】。
まずは【道路交通法】の条文を見てみましょう。
《道路交通法 第七十一条の四》
①乗車用ヘルメットをかぶらないで運転してはならない。
ビックリですね。なんとヘルメットを被らないと違反になるようです。盲点でした。確か自動車学校では特に教えてもらった記憶がありません。
・・・それはさておき、こちらが重要。
《道路交通法施行規則 第九女条の五》には乗車用ヘルメットの基準に以下の7項目が定められています。
①左右、上下の視野が十分とれること。
②風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
③著しく聴力を損ねない構造であること。
④衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
⑤衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
⑥重量が二キログラム以下であること。
⑦体を傷つけるおそれがある構造でないこと。
①ですが、これフルフェイスがアウトの様な気がしますが・・・。人間の視野角は【左右100°】、【上方60°】、【下方70°】です。フルフェイスの視界って下方は狭いと思うのですが、果たしてこの通常の視野角に対して【十分とれている】と言い切れるのでしょうか?という疑問が残りますが、この辺りは下方はあまり重要視はされないのと、左右の視野が開けていれば問題なしと判断するのでしょうか?でも、基準を満たしてはないよね?
②これはその通りだと思いますが、ひさしが垂れるって何?この表現は合っているの?この条文要らなくね?昔のヘルメットはこういう構造だったのでしょうか?
③これも当たり前の基準ですけど、静音性の高いヘルメットでも著しくは妨げないのでOKでしょう。
④ここが問題になる基準。これに関しては完全に【PSC規格】が基準になります。これより厳しいであろう規格(SNELLやDOT、ECE等)であれば問題はない【はず】ですが、何かあった時に、それの証明が出来ないという面倒な問題があります。【PSC規格】であれば既に国が認めているので問題ありません。以上の事から【PSC規格】を通っていないヘルメットを被って公道を走ると違反になるという解釈が生まれているのではないでしょうか?
ただこれだけを見ても【国土交通省】的には具体的な安全基準は定められていないのが分かります。
では【経済産業省】の有難い訓示を見てみましょう。
《乗車用ヘルメット(注1)は消費生活用製品安全法の特定製品に指定されている製品であり 、国内でPSCマーク (図1参照)を表示していない製品を【販売】することや、販売目的で【陳列】することは、法律で【禁止】されています(注2)。
近年、こうした適正な表示をしないまま乗車用ヘルメッ トを販売している事例が、インターネット販売を中心に発生しています。
国内でのこうした販売は違法であり、同時にこれらの製品は、安全性が十分確認されていない可能性があります。 消費者の皆さんは、こうしたヘルメットは購入・使用しないように十分【ご注意】下さい。
注1)「乗車用ヘルメット」とは、自動二輪車又は原動機付自転車乗車用のもので、 工事用のヘルメットなどは含みません。
注2)SNELL、JIS、DOT、ECE等の規格に適合し、その表示がある製品であっても同様です。》
そうです。販売や陳列は法律で【禁止】されていますが、使用はあくまで【注意】なのです。
特に注釈の2)ですが、具体的にPSCより厳しい海外規格でも駄目と書いてあります。どんだけPSC規格を信頼してんだよ。流石、島国日本・・・と言いたいところですが、販売に関しては、煩雑化を抑えるためには、このPSC規格を基準にせざるを得ない事情は分からなくもないですが・・・どうなんでしょう?癒着や天下りの臭いがしなくもないですね。
長くなりましたが、【可能性がある】や【ご注意下さい】止まりですので、ヘルメットは頑丈であればOKという解釈です。
序でにそれ以降も見ておきましょう。
⑤これもPSC基準なのでしょうが、野球のヘルメットみたく衝撃吸収が良くても、ヘルメット自体が飛んでいってしまったら意味ないので当然です。
⑥頑丈こそ命みたいな防御力重視のクソ重いヘルメットでも事故った時に重さで首がもげたら意味が有りません。
⑦当然と言えば当然ですが、要は奇抜な形は駄目ですよ、と言いたいのでしょう。
と言うわけで、ものによっては基準の解釈が曖昧です。
そう【曖昧】なのです。
なので道交法の基準が曖昧過ぎて、その処罰対象が本当に違反なのかそうでは無いのか、断言出来ない内容となっています。
つまり国が定めた上記の基準をなんとなく満たしているヘルメットであれば、はっきり違反とは言えず、取り締まることは出来ないのです。出来ない【はず】です。
で、その基準が曖昧過ぎて警察も手出し出来ないのが現状なのです。現状な【はず】です。
だって、フルフェイスやシステムヘルメット、ジェッペル、しまいには半ヘルなど、明らかに性能に大きな大きな差があるにも関わらず、PSC規格さえ通っていればオールOKという基準が良いわけがないじゃないですか。明らかに死ぬ確率が変わるんですから。それぐらい今の安全基準って曖昧というか変テコだと思いませんか?
あ、これ全て乗車用ヘルメットの事で、現場用のヘルメットを被って、基準を満たしてますから〜と言ってもお巡りさん、無視しますから。
ちなみに【任意保険】はというと、以前、保険屋さんに聞いたところ、あまりにも残念なヘルメット(既に事故って割れてるとか、現場・自転車用とか、そもそも被っていないとか)で無ければ基本的には査定(?)に影響は無いとのこと。ただし、保険会社によっては当然、お金を払いたくないので「はい、残念〜。PSC規格じゃないから保険金はゼロっどぇ〜す・・・と言いたいところだけど、それではあまりにも惨めで可哀想過ぎるから3割引きで手を打ってあげるよ〜ん、どう?嬉しい?感謝しなさい」という事になる場合もある【らしい】ので、保険の観点から言いますと、出来る限り安心安全のPSC規格取得の国産ヘルメットを被ることを推奨いたします。
※例によって本日の記事は私個人の見解ですので、個人の判断で購入や使用をしてください。